高齢者の舌ケアの注意点は?

高齢者の舌ケアの注意点は?

高齢者の舌ケアで大切な注意点は、力を入れすぎないこと、乾いた舌を無理にこすらないこと、誤嚥(ごえん)を起こさない姿勢で行うことです。舌の表面に付く白っぽい汚れは、すべて取り切る必要があるとは限りません。出血、痛み、ただれ、黒色や赤色の変化が続く場合は、舌ケアで様子を見ず歯科医療機関に相談してください。

高齢者の舌ケアで特に注意したいこと

高齢者は、唾液の減少や薬の影響などで口の中が乾きやすく、舌の汚れが付きやすくなります。一方で、舌の粘膜が傷つきやすい人もいるため、強くこするケアは避けましょう。

  • 舌を強い力でこすらない
  • 乾燥した舌にいきなり舌ブラシを当てない
  • 奥まで入れすぎて、吐き気や誤嚥を起こさない
  • 出血や痛みがあるときは中止する
  • 舌の変化を「汚れ」と決めつけない

舌を強くこすってはいけない理由

舌の表面には細かな突起があり、強くこすると粘膜を傷つけたり、痛みや出血を招いたりすることがあります。汚れを一度で完全に落とそうとせず、軽い力で少しずつケアしてください。

舌ブラシを使う場合は、ブラシを舌の奥に押し込まず、舌の中央から先端に向かってやさしく動かします。何度も往復させるのではなく、汚れが付着したら水で洗い、必要な範囲だけ整える程度にします。

乾燥している舌は、先にうるおす

口の中や舌が乾いているときにこすると、粘膜が傷つきやすくなります。ケアの前に、少量の水で口をうるおす、うがいをする、口腔用の保湿剤を使うなど、本人の状態に合う方法で乾燥をやわらげましょう。

ただし、飲み込む力が弱い人に無理に水を飲ませると、むせることがあります。水分を口に含むことが難しい場合は、無理に飲ませず、歯科医師や歯科衛生士などに適した保湿方法を相談してください。

誤嚥を防ぐ姿勢とケアの方法

舌ケアは、本人が意識を保ち、指示に反応できる状態で行います。寝たまま、あお向けの姿勢で行うと、唾液や汚れが気道へ流れやすくなるため注意が必要です。

  1. 本人に舌ケアを行うことを伝え、体調と意識の状態を確認します。
  2. できれば座位、難しい場合は上半身を起こし、顔を少し横に向けます。
  3. 口の中の乾燥が強ければ、先にうるおします。
  4. 舌の先を軽く出してもらい、舌の中央から先端に向かって、手前へやさしく動かします。
  5. むせる、吐き気がする、苦しそうにする場合は、すぐに中止します。
  6. 使用後の器具を洗い、舌や口の中に傷がないか確認します。

自分で舌を出したり、口を開け続けたりできない場合は、無理に介助しないでください。本人の反応を見ながら、歯科医師、歯科衛生士、訪問看護師などに方法を確認することが大切です。

舌の白い汚れは、すべて落とす必要がある?

舌の表面に付く白っぽいものは、食べかすや細菌などが付着した舌苔(ぜったい)のことがあります。舌苔は口の乾燥や清掃不足などで増えることがありますが、白く見える原因がすべて舌苔とは限りません。

軽くケアしても取れない、こすると出血する、痛みや違和感がある場合は、強く削らないでください。白い斑点や膜状の変化が続く場合は、口腔カンジダ症など別の原因も考えられるため、歯科医師に確認してもらいましょう。

義歯を使っている高齢者の注意点

入れ歯を使っている場合は、舌だけでなく、入れ歯や歯ぐきも清潔に保つ必要があります。ただし、入れ歯を外すときや口の中を清掃するときに、入れ歯を落として破損させたり、本人の口を傷つけたりしないよう注意してください。

入れ歯を外した後は、舌の表面、歯ぐき、頬の内側などを観察します。入れ歯の縁が当たる場所に傷や赤みがある場合は、入れ歯を削ったり自分で調整したりせず、歯科医師に相談してください。

舌ケアを中止して歯科医療機関に相談する症状

次のような症状がある場合は、舌ブラシなどでこすり続けず、歯科医師または歯科衛生士に相談してください。

  • 舌から出血する、または出血が繰り返す
  • 舌の痛み、腫れ、ただれがある
  • 白い膜や斑点が取れず、長く続いている
  • 赤い斑点、黒っぽい変色、硬いしこりがある
  • 舌を動かしにくい、飲み込みにくい
  • 口内炎のような傷がなかなか治らない
  • 舌ケアのたびに強くむせる、吐き気が続く

急に舌が動かしにくくなった、ろれつが回らない、顔や手足の片側に力が入りにくいといった症状がある場合は、舌の汚れの問題とは限りません。緊急性のある病気の可能性もあるため、舌ケアを続けず、速やかに医療機関へ相談してください。

高齢者の舌ケアは「やさしく、短時間」が基本

高齢者の舌ケアは、汚れを強く削り取ることが目的ではありません。口の中を傷つけず、乾燥やむせに配慮しながら、本人が苦痛なく続けられる範囲で行うことが基本です。

まずは体調と姿勢を整え、舌をうるおしてから、手前に向かって軽く清掃します。出血や痛み、取れない変化、飲み込みの異常がある場合は中止し、歯科医療機関で原因を確認してください。