高齢者の舌苔による口臭の原因と対策は?

高齢者の舌苔による口臭の原因と対策は?

高齢者の舌苔による口臭は、舌の表面に付着した細菌、食べかす、剥がれた粘膜などが原因で起こります。特に高齢者は、唾液の減少や入れ歯、歯周病などが重なり、舌苔と口臭が生じやすくなります。

対策の基本は、舌を傷つけない清掃、歯と入れ歯の手入れ、口の乾燥対策です。ただし、舌苔が厚く付着し続ける場合や口臭が強い場合は、舌苔だけが原因とは限らないため、歯科や歯科衛生士に相談してください。

高齢者の舌苔が口臭を起こす原因

舌苔そのものが強いにおいを出すというより、舌苔に含まれる細菌がたんぱく質などを分解する過程で、口臭の原因となる揮発性の成分を作ります。

唾液が減って口の中が乾燥する

加齢、服用している薬、口呼吸、会話や食事の減少などで唾液が少なくなると、舌や歯の表面に汚れが残りやすくなります。唾液には口の中を洗い流す働きがあるため、唾液が減ると舌苔や口臭が増えやすくなります。

歯周病やむし歯がある

歯周病では、歯ぐきの腫れや出血だけでなく、歯周ポケットに細菌や汚れがたまって口臭が生じることがあります。舌苔が目立っていても、実際には歯周病やむし歯が主な原因になっている場合があります。

入れ歯の汚れが残っている

入れ歯の表面や裏側に細菌や食べかすが付着すると、口臭の原因になります。入れ歯を外さずに寝る、入れ歯を水だけですすぐ、洗浄が不十分といった習慣がある場合は、舌苔や口臭につながりやすくなります。

食事や口を動かす機会が減っている

やわらかい食事が中心になったり、食事量や会話が減ったりすると、舌が動く機会も少なくなります。その結果、舌の表面に汚れが残りやすくなることがあります。

舌苔による口臭を減らす対策

まずは、舌だけでなく歯、歯ぐき、入れ歯、口の乾燥を一緒に確認することが大切です。次の方法を無理のない範囲で続けてください。

1. 舌をやさしく清掃する

  1. 舌清掃用ブラシや舌クリーナーを用意します。
  2. 鏡を見ながら舌を前に出し、奥から手前へ軽く動かします。
  3. 数回で汚れが取れたら終了し、何度も強くこすらないようにします。
  4. 使用後は器具を水で洗い、清潔に乾かします。

舌苔を一度に完全に取ろうとして強くこすると、舌の粘膜を傷つけたり、出血や痛みを招いたりすることがあります。歯ブラシを使う場合も、毛先を寝かせて軽い力で行い、痛みや出血があるときは中止してください。

2. 歯と歯ぐきを清掃する

歯ブラシで歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目も清掃します。歯ブラシが届きにくい部分には、歯間ブラシやデンタルフロスを使う方法がありますが、歯ぐきの状態に合う道具は歯科で相談すると安心です。

本人による歯みがきが難しい場合は、介助する人が口の中を確認しながら清掃します。むせやすい人は、姿勢や水分量にも注意し、無理にうがいをさせないでください。

3. 入れ歯を毎日清掃する

入れ歯は外して、入れ歯用ブラシなどで表面と裏側を洗います。歯みがき粉は入れ歯を傷つけることがあるため、使用の可否を製品の説明書や歯科で確認してください。

入れ歯洗浄剤を使う場合は、製品に記載された使用方法と時間を守ります。寝るときに外すかどうかは、口の状態や入れ歯の種類によって異なるため、歯科医師の指示がある場合はそれに従ってください。

4. 口の乾燥を防ぐ

水分制限がない人は、少量の水分をこまめに取ると口の乾燥対策になります。食事の前後や会話の前に口を動かすこと、唇や口の中を保湿する製品を使うことも選択肢です。

口腔乾燥用の保湿ジェルやスプレーを使う場合は、誤嚥(ごえん)の心配がある人や自分で吐き出すのが難しい人では、歯科医師や歯科衛生士に相談してから使用してください。

糖尿病や心臓、腎臓の病気などで水分量を制限されている場合は、自己判断で水分を増やさず、主治医の指示を優先します。

舌苔を清掃するときの注意点

  • 舌の奥を強くこすらない
  • 出血、傷、腫れ、強い痛みがあるときは清掃を中止する
  • 舌苔を爪やスプーンなどで削らない
  • 口臭が気になるからといって、洗口液だけで済ませない
  • 本人が嫌がる場合やむせる場合は、無理に行わない

舌苔が薄く残っていても、必ずしも異常とは限りません。見た目だけを基準にして強くこするのではなく、口臭、痛み、食べにくさ、口の乾燥などの症状も合わせて判断します。

歯科を受診したほうがよい症状

次のような場合は、舌苔だけの問題と決めつけず、歯科で口の中を確認してもらってください。

  • 舌苔や口臭が、清掃や乾燥対策をしても続く
  • 歯ぐきの腫れ、出血、膿、歯のぐらつきがある
  • 舌に痛み、出血、ただれ、白色や赤色の部分が続いている
  • 入れ歯が合わない、痛い、汚れが落ちにくい
  • 口が乾いて食事や会話がしづらい
  • 口臭の急な変化に加えて、発熱や体調不良がある

舌の白い付着物がこすっても取れない場合や、取れたあとに出血する場合は、舌苔以外の原因も考えられます。自己判断で削らず、歯科や医療機関に相談してください。

介護で口腔ケアを行うときの確認ポイント

介助する場合は、本人をできるだけ起こした姿勢にし、口の中を見ながら短時間で行います。むせ、咳、呼吸の変化、強い拒否があるときは中止し、必要に応じて歯科や訪問歯科へ相談します。

口臭だけでなく、舌の色や傷、歯ぐきの腫れ、入れ歯の状態も記録しておくと、受診時に症状を伝えやすくなります。服用薬を始めた後に口の乾燥が強くなった場合でも、自己判断で薬を中止せず、処方した医療機関に相談してください。

高齢者の舌苔による口臭対策の要点

高齢者の舌苔による口臭には、舌の軽い清掃、歯と歯ぐきのケア、入れ歯の洗浄、口の乾燥対策を組み合わせます。強くこすって舌苔を取るのではなく、毎日の口腔ケアを続けることが基本です。

口臭が続く、舌に異常がある、歯ぐきが腫れている、入れ歯に問題がある場合は、舌苔だけを原因と考えず、早めに歯科で確認してください。