唾液不足は、舌苔や口臭と関係することがあります。唾液の量が減ると、口の中を洗い流す働きが弱まり、舌の表面に細菌や食べかすなどが付着しやすくなるためです。ただし、舌苔や口臭の原因は一つとは限らず、歯周病や口腔内の清掃不足などが関係する場合もあります。
唾液不足で舌苔や口臭が起こりやすくなる理由
唾液には、口の中を洗い流す、粘膜を守る、細菌の増殖を抑える、食べ物の残りを流すといった働きがあります。唾液が少なくなると、舌や歯の周りに汚れが残りやすくなります。
舌の表面には細かな凹凸があり、そこに細菌、食べかす、古くなった粘膜などが付着すると、白色や黄色っぽい舌苔が目立つことがあります。舌苔に含まれる細菌がたんぱく質などを分解すると、口臭の原因となるにおい成分が発生しやすくなります。
つまり、唾液不足は「舌苔を増やしやすくする環境」を作り、その結果として口臭につながることがあります。ただし、唾液不足がある人に必ず強い口臭が出るわけではありません。
唾液不足かどうかを判断する手がかり
唾液不足が疑われるときは、口臭だけでなく、口の中の乾き方や飲み込みにくさも確認します。次のような状態が続く場合は、口腔乾燥が起きている可能性があります。
- 口の中が乾く、ねばつく
- 水分がないと話しにくい、食べ物を飲み込みにくい
- 舌が乾いてヒリヒリする
- 舌や口の中に傷ができやすい
- 夜中や起床時に口の乾きを強く感じる
- 以前より虫歯や歯周病ができやすくなった
- 口臭が続く
ただし、これらだけで唾液不足の有無や原因を確定することはできません。口呼吸、緊張、脱水、薬の影響、病気など、複数の要因が重なっていることもあります。
舌苔と口臭を軽減するためにできること
まずは、口の中を乾燥させないことと、舌や歯を傷つけない清掃を続けることが基本です。
- こまめに水分をとる。一度に大量に飲むのではなく、口の乾きを感じる前に少量ずつ補給します。水分制限を受けている人は、自己判断で量を増やさず、主治医の指示に従ってください。
- よく噛んで食べる。噛む動作は唾液の分泌を促します。食事を急いで飲み込まず、無理のない範囲で咀嚼します。
- 舌をやさしく清掃する。舌ブラシや柔らかいブラシを使い、舌の奥から手前へ軽く動かします。強くこすったり、何度も繰り返したりすると舌を傷つけるため、舌苔を一度ですべて取ろうとしないことが大切です。
- 歯と歯ぐきも清掃する。舌だけをきれいにしても、歯垢や歯周病があると口臭が続くことがあります。歯ブラシに加えて、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使います。
- 口呼吸を見直す。鼻づまりや習慣的な口呼吸があると、口の中が乾きやすくなります。鼻づまりが続く場合は、耳鼻咽喉科などで原因を確認します。
口の乾燥が気になる場合は、無糖のガムを噛むことが唾液分泌の刺激になる場合もあります。ただし、糖分を含むガムは虫歯のリスクを高めることがあるため、選ぶなら無糖のものが適しています。
舌苔や口臭があるときに避けたいこと
舌苔を落とそうとして、爪や硬い器具で削るのは避けてください。舌の表面を傷つけると、痛みや炎症が起こり、かえって清掃しにくくなることがあります。
アルコールを多く含む洗口液を頻繁に使うと、刺激や乾燥を感じる人もいます。使用後に口の乾きが強くなる場合は、製品の使用方法を確認し、歯科医師や歯科衛生士に相談してください。
また、口臭を香料で一時的に隠すだけでは、唾液不足や歯周病などの原因は解決しません。口臭が続く場合は、原因を確認することが重要です。
唾液不足の原因には何がある?
唾液が少なくなる原因には、次のようなものがあります。
- 水分不足や発熱、発汗などによる脱水
- 緊張やストレス
- 口呼吸
- 加齢に伴う変化
- 唾液の分泌に影響する薬の副作用
- 唾液腺の病気
- 糖尿病など全身の病気
- 放射線治療などの影響
薬を服用している場合でも、自己判断で中止や減量をしてはいけません。口の乾きが薬を飲み始めた時期と重なる場合は、処方した医師や薬剤師に相談してください。
舌苔や口臭が続くときは歯科や医療機関へ
セルフケアをしても口臭や口の乾きが続く場合、歯周病、虫歯、口腔内の炎症などが隠れている可能性があります。まずは歯科で、歯垢、歯石、歯周病、舌の状態を確認してもらうとよいでしょう。
口の乾燥が強い、目も乾く、食事や会話がしづらい、舌の痛みや口内炎が続くといった場合は、歯科だけでなく、必要に応じて内科などで原因を調べることがあります。
舌に白いものが付着しているように見えても、すべてが通常の舌苔とは限りません。こすっても取れない白い変化、出血、強い痛み、ただれ、しこりなどがある場合は、無理にこすらず、早めに歯科や医療機関を受診してください。
唾液不足は、舌苔や口臭を悪化させる要因の一つです。水分補給、やさしい舌清掃、歯と歯ぐきの清掃を行い、それでも口の乾きや口臭が続く場合は、唾液不足の原因や口腔内の病気を確認するために受診しましょう。







